歯医者に行ってしっかり虫歯を治療したのにもかかわらず、銀歯の部分が痛いと訴える方は少なくありません。なぜ、治療が完了しているのに痛みが生じてしまうのでしょうか?ここでは、銀歯が傷む原因や対処法について、詳しく解説します。
目次
治療をしてすぐに痛む原因
虫歯の治療が完了して一安心と思っていたのに、まだ痛みを感じてしまう場合、何が原因なのでしょうか?主に3つの原因で痛みを感じることがあるです。
熱や刺激の影響を受けやすい
銀歯は金属でできているため、熱や刺激が伝わりやすいというのが特徴。治療した虫歯が深い虫歯だった場合、神経のギリギリのところまで多くの歯を削って銀歯を詰めます。それによって、銀歯と歯の神経との距離が近くなり、銀歯に伝わった熱や刺激が神経に伝わると、物をかむことで痛みを感じてしまうのです。
この痛みを受け続けると、歯は神経を守るために第二象牙質という新しい象牙質を形成して、神経へ銀歯からの刺激が伝わらない仕組みを作ります。そのため、最初は痛みを感じるものの、その痛みは徐々に弱くなっていきます。あまりに痛みがひどい場合は、神経を取り除く方法も考えられますが、できれば少し様子を見て神経を残すように努めましょう。
神経が過敏になっている
虫歯治療では、麻酔や歯の切削、詰め物を行うなど、かなり歯や神経に対して刺激を与えます。そのため、神経自体が一時的にダメージを受け、炎症を引き起こすことがあります。これによって、普段は気にならない刺激に対しても、強い痛みを感じてしまうことがあるのです。
このような歯の痛みの多くは、一定期間経過することで徐々に解消されていきます。早ければ1、2週間ほどで痛みがなくなりますが、場合によっては数カ月かかることもあります。少し様子を見ても、症状が緩和されない場合は、改めて歯医者で確認をしてもらう必要があるでしょう。
かみ合わせが良くない
虫歯治療では、多くの場合、歯を削って治療を行います。銀歯などの詰め物を行う際には、ただ単に穴をあけたところを埋めるだけではなく、かみ合わせを考えながら詰め物を作製します。
ただ、治療前のかみ合わせと全く同じ状態にならないことも少なくありません。むしろ多くの方は、虫歯治療後に多少の違和感が生じることがあるでしょう。毎日、食事をしていくうちに、徐々に銀歯がなじんでいきますが、銀歯の高さが適切ではなく、痛みが生じてしまうことがあります。この状態で我慢しても、症状が改善されることがありません。1週間程度様子を見ても、違和感が無くならない、痛みが軽くならない場合は、歯科医を受診しましょう。
治療から数年経過して傷みだす原因
治療をしてかなりの年数が経過してから、銀歯が痛くなってしまうことがあります。そのような場合は、次の3つの理由によって痛みを感じている可能性があります。
銀歯の下で虫歯ができている
銀歯は、一度詰めれば一生涯品質を保つというわけではありません。時間とともに劣化をしてしまうため、場合によっては銀歯と歯の間に隙間が生じることがあります。その隙間から汚れが入り、銀歯の中で虫歯が進行することがあります。
また、詰め物が入っていない部分で虫歯になってしまうというケースも少なくありません。
このような場合、神経が残っていると痛みを感じるため、虫歯であることに気付きやすいでしょう。
しかし、神経を抜いてしまっていると痛みを感じないことから発見が遅れ、虫歯が悪化することも。もし、銀歯の奥で虫歯が発生した場合は、一度銀歯を外したうえで、さらに切削して再び銀歯をつける必要があります。
知覚過敏で痛みを感じる
また、歯周病によって歯茎が下がってしまうと、エナメル質のない歯の根元の部分が露出します。それによって痛みが生じてしまうことがあります。これは知覚過敏といって、直接的に銀歯が原因ではない痛みが生じます。知覚過敏になった場合は、専用の歯磨き粉や正しいブラッシングで改善します。睡眠中の歯ぎしりなどが要因によって、エナメル質が削れてしまっている場合は、専用のマウスピースを作るなどの対策が必要となるでしょう。
炎症や歯周病で傷む
虫歯によって深く削った時や、神経を抜いた時は、銀歯を入れる前に神経の部分に薬を詰め込みます。これによって、歯の神経の部分に細菌が繁殖しないようにします。基本的には、この薬によって炎症を防ぎますが、体調の悪化や加齢によって免疫力が低下していると、炎症がおこるケースがあります。炎症によって痛みが生じる場合は、一度銀歯を外したうえで感染源を取り除く治療を行わなければなりません。
銀歯が持つデメリット
銀は扱いやすい金属のため、虫歯治療によく使用されますが、次のようなデメリットが存在しています。
汚れやすい
銀歯は、装着当初はキレイなのですが、あくまでも金属です。そのため、ぬれてると金属イオンが溶け出す性質を持っています。口の中は唾液で満たされているため、銀歯の成分の多くは金属イオンになってしまい、歯茎に浸透してしまうことがあります。それによって歯茎が黒くなってしまう恐れがあります。これは、注意深く丁寧にケアしていても、必ず起こってしまうので注意が必要です。
アレルギーが出る場合も
また、この金属イオンは、人によりアレルギーを引き起こす恐れもあります。銀イオンが歯茎に沈着するだけではなく、徐々に体内に蓄積されていきます。体内の金属イオンが、その人の許容量を超えた時に、金属アレルギーとして症状が現れてしまうのです。
銀歯に含まれているパラジウムという金属は、存在するさまざまな金属の中でもアレルギーを引き起こしやすいといわれています。パラジウムによるアレルギーを引き起こす割合は、およそ20~30%とかなり高めです。
金属アレルギーになると、頬の内側や舌が赤く炎症を起こすことがあります。また、口以外の手や足の甲、全身にじんましんや皮膚炎のような症状が出ることもあります。
銀歯を使わない治療法
近年では、虫歯治療に対する技術も進化しており、銀歯を使わずに虫歯治療もすすめられています。
プラスチックを用いた治療法
レジンという歯科用のプラスチックを用いて、治療を行います。小さな虫歯なら、銀歯よりもしっかりと歯に密着するので、再び虫歯になりにくいという特徴があります。しかし、5年程度で変色するので、定期的にメンテナンスを行う必要であると考えておきましょう。
セラミックを用いた治療法
汚れが付きにくいだけではなく、強度があり、劣化しにくいため長期間歯を保護してくれる効果が期待できるのがセラミックを用いた治療法です。ちょっとした虫歯からブリッジ治療、差し歯まで対応できるものの、保険適用をすることができないため、治療費が高くなります。
銀歯が痛くなったタイミングで原因が変わる
治療をしたはずの銀歯が痛くなる原因としては、治療後すぐの銀歯なのか、治療してから時間がたっている銀歯なのかによって原因が大きく変わってきます。治療後すぐの場合は様子を見ることで改善する可能性がありますが、治療をしてからかなり時間が経過している場合は、銀歯の奥で虫歯が進行している可能性もあります。自己判断せずに、歯科医に相談をしましょう。